5.それを言っちゃ おしめえよ

「それを言っちゃあ おしめえよ」は,映画「男はつらいよ」フーテンの寅さんの名セリフです。

現在 当スクールに通っていただいている子ども達の親御さんには、誰一人とこの名セリフをご存じなかったので、少々説明させていただきます。

(歳の差を痛感いたしました。)

 

「男はつらいよ」は、シリーズものの映画です。

渥美清さん演じるテキ屋稼業を生業とする「フーテンの寅」こと車寅次郎が、何かの拍子に故郷の葛飾柴又に戻ってきては何かと大騒動を引き起こします。

森川信さん演じる車竜造(おいちゃん)は、問題ばかり起こす寅次郎に対し我慢に我慢を重ねるがついにはけんかとなり、堪忍袋の緒が切れ「出てってくれ」と言います。

それに対して寅次郎が毎シリーズ、決まって言い返すのがこの名セリフの「それを言っちゃあ おしめえよ」と言ってまた旅に出ます。

さて、

たとえ親子の間でも、決して言ってはいけない言葉があると思います。

つまり「それを言っちゃあ おしめえよ」があると思うのです。

前置きが長くなりなりましたが、

今回は、決して他人の子どもには言わない言葉なのに、

なぜか我が子に対しては

結構 親が平気で吐いてしまうそんなセリフ(?)について書きます。

親というもの、

第三者の立場なら冷静でいることができるのに、

我が子に対してはどうも感情的になりがちです。

親なら、我が子に対して【心配】と【期待】は当然のことです。

しかし その【心配】と【期待】が、親を感情的にしてしまいます。

それと・・・実は・・あと もう一つ

最近の親の特徴に【我が子を過大評価しすぎている】って場合もあるような気もします。

 

私は、時折 親が子に対する一言が

「それを言っちゃあ おしめえよ」といった場面に遭遇します。

そしてそれを言われた子どもは

必ず 凹み 表情が暗くなっています。

 

では、「それを言っちゃあ おしめえよ」の

代表的なパターンをあげてみます。

 

1.【そんなことを親に言われても、子どもにとってはどうしようもできない】こと。

例えば

「誰に食べさせてもらっていると、思っているんだ」

「親がお金を出してやっているんだぞ。」

信じられないでしょうが、実際 ある父親が子どもに吐いた言葉です。

こんなことを言われても、子どもは「すみません」としか 言いようがないですよね。

だって 子どもは働いていないわけですし・・・・・・。

いったい親が何を子どもに教えたいのかが、わかりませんよね。子どもは、辛いだけです。

 

 

2.【言われても、すぐには直しようのない】こと

例えば

「ホント不器用だな もう止めれば 無駄 無駄」

「頭 悪すぎ」

「こんな簡単なこともできないの」

「さっきやったばかりじゃない。もう忘れたの」

「何回言えば わかるの」

「バカだね」

 

誰だって「初めて学ぶことはとても難しい」のです。

ただ,一度身につけて慣れてしまうと,とても簡単なものに思えるだけのことです。

大人は,身につけるときに苦労したことは,すっかり忘れて,簡単なものだと思って勘違いしてしまうのです。

 

 

3.【他人や兄弟間で比べる】こと

「こんなの ○○くんなら簡単にできるよ」

「お兄ちゃんなのに 全然ダメだね」

いつも弟ばかりほめていると兄弟仲が悪くなる可能性も大です。

 

 

最後になりますが

当スクールでは、「試合後に、その勝敗に関わらず、注意しておくべきことには注意をしてもいいが、ある試合において、もし勝っていれば怒らないであろう事柄ならば、たとえその試合に負けたとしても、絶対にそのことに関して、怒ってはいけない」という決まり事があります。

例えば

「全然 勝ちたいと思う気持ちが伝わらない もうやめろ」

これは 優勝していたら言わない言葉ですよね。

いや もし勝った試合でもこれを言う親がいたなら、それはそれで尊敬的OKですが。

他に試合会場で 時折 耳にする言葉は

「なんだ あの試合は!! 一生懸命さが伝わらない」

「もうやめれば? そうしてくれれば親も助かるし」

「○○くんに負けるぐらいなら、やめれば」

「今度負けたら、やめさせるからな」

 

親なら諦めずに続ける努力をさせなければいけないのに、すぐ辞めさせる方向に話がなってしまう親もいます。

 

更に 試合に勝っても

「なぜ あんな子に競るの」という、親もいます。

意地悪な私は、「お子さんがその「あんな子」とレベルが変わらないから競るのですよ」って言ってしまいます。

 

「しつけ」とか「指導」とは、悪いところを改め、いい行動を多くすることです。

改めきれないことを言っても、「しつけ」にはなりません

悪いところを指摘するだけなら、誰でもできます。

結果だけを言うのは、簡単です。

その「悪くなってしまう原因」を

教えなくては、「指導」とはいえません。

 

どのように言われても,できないのはできないのです。

子どもだから すぐにできないのも当たり前だと、考えることも必要なのです。

できないことをできるようにするのが「親」なんです

お父さんやお母さんも何か新しいことを始めたらどうでしょうか。ギターでもいいです。それこそ卓球でも外国語でもいいです。

とにかく自分も学ぶ立場になれば、学ぶことがどんなに難しいことかが分かります。

ギターを習えば、指をどのように動かせばいいのか頭では分かっていても、指が思うように動いてくれません。

一度できたと思っても、次にまた同じ間違いをおかしてしまいます。

そんな時、先生に

「また,同じ間違いをしましたね。」

「何度やれば分かるのですか」

「頭 悪すぎですね」

「センスを感じないから、やめた方が良いのでは?」

「本当に覚える気があるのですか?」

などと叱られたらどんなに惨めな思いをするでしょう。

それが分かれば、

「こんなこともできないの。さっきやったばかりじゃない」などという言葉を、子どもにあびせることはできませんよね。

そこで

自分は、どうも愛する子どもに対し、感情的になりがちだ。

と思えるならば

一度 自分が言ってしまいそうな最悪セリフ集を作っておくことをお勧めします。

子どもを「奮起」させるつもりで、今回の例のような言葉を親が意識的に言う場合もあると思います。

しかし、私の経験上では、結果的には子どもが「やる気をなくす」ことの方が多いような気がします。

子どもを愛し過ぎる故に起こり得る過ちの一つと考えられます。ご参考までに。

 

 

次回は 「100円ちょうだい」に、するつもりです

 

「5.それを言っちゃ おしめえよ」への2件のフィードバック

  1. 心が痛いです…
    私も、辞めさすつもりもないのに「もう、やめる?」とか奮起させるために言ってしまいます。
    確かに自分が言われたら嫌な気になりますし、そこで「うん、辞める」って言われたら、返す言葉もありません…
    しかし、現在、子供のやる気を奮起させるにはどうしたらいいのかと完全に模索中です。
    つくづく子育ては難しいと感じます。

    1. 慶の母さん こんにちは。
      いつも コメント ありがとうございます。
      ホント、「じゃ 辞める?」って すぐ 言ってしまう親が多いです。
      「別に 他にやることは たくさんあるし・・・色々経験することも大事だから」って
      もっともらしい事を言う親と、けっこう出会いました。
      勿論 一概には言えませんが、
      子どもが「他にしてみたいことが見つかった」から辞めるのなら良いとは思いますが、
      「したくないから辞める」のでは、良くないと思います。
      恐らく、「したくないから 辞める」は、その繰り返しになると思います。
      また、一番問題なのは、子どもは本当は我慢できるのに、親が我慢できなくなり、
      親が楽になるために、子どもに辞めさすパターンです。

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